新生 おとジム号

 おとジム号が平地で一回転半したことは、皆さんご存知の通りですよね。
 有料コース内での出来事。「そんなスピードで!」と思った瞬間、右に急ハンドルを切ったジムニーは大きく重心を崩し、左の前輪を軸に舞い上 がる砂埃と割れるガラスの破片の中でゴ ロンゴロンと一回転半しました。
 運転者にケガはありませんでしたが、本人曰く「運転席からいきなり地面と空が交互に見えて、何が起こったのか理解できなかった。だけど、そ こ だけ時間が止まってスローモーションで景色が替わっていった」とのこと。
 おとジム号の状態は、ボディーの四隅が丸くなり、ピラーが曲がり、FRPボンネットは割れ、ドアは開閉不能、フロントガラスにはクモの 巣状のヒビ、他のガラスの全ては粉々になって飛び散りました。エンジンを含め動力装置は一切無傷でしたので、好奇な視線が集まるなか、ガムテープの応急処 置だけで海ほ たる経由で帰りの100 キロの道のりを無事に走破することが出来ました。
 ジムニーには「幌、バン、パノラミック」と3種類のボ ディー があります が、今後もレースへの出場を考慮すると、軽量で後方視の良い幌ボディーへの載せ換えを決意しました。しかし幌車の人気は高くネットオークション、解体屋等 を探し ましたが金額と程度が一致せずに 半分あきらめかけていました。そんなときに、群馬の100マイル親方から「ボディーのみなら格安であるよ」との有力な情報が入りましたので、さっ そくお願いしました。
恥ずかしいので、駐車場ではシートを掛けて冬眠させていました。


 今回の載せ換えでは、群馬の100マイル親方の紹介で、ある修理工場のリフ トをお借りすることができました。看板も無い修理工場を若い社長が一人で切り盛りしています。修理工場というより、ジムニー野郎の秘密基地といったところ です。三々五々ジムニー乗りが集まり、お客が自分でクラッチ交換、オイル交換を行い、その横で社長が客が持ち込んだキャブレターのOHを行っています。実 に商売っけのない工場で、これで食べていけるのか?とこっちが心配になってしまいます。残念ながら、工場の場所等は公表しないでくれとのことです。
          
            関越道を北上するおとジム号
        
           積載車のベンチシートで朝寝のビー

 そんなわけで、2004年3月27日に載せ換え決行となりました。朝4時に起床し て、予約していたレンタカーの手配、おとジム号の積み込み、名物の環八 渋滞等で群馬に到着したのが9時30分。
 すでに、本日のお祭りに参加してくださる、北 は青森、南は東京までの神輿好きの男衆が集まっていました。ご挨拶も 早々にさっそく神輿の準備にとりかかりました。
   

  
   バンバ ン、バキバキと剥がされていきます
  •  分離独立宣言
  フレームとボディーを行き交う電気配線、ケーブル、ブレーキ、クーラー及びガソリ ンパ イ プ等を離したらボディーの持ち上げです。

 
 ボディーの 下部にリフトを当ててソロソロと持ち上げます。
「ちょっと待ったー、外し忘れがあるよー」

 
完全に分離しました 

 記念撮影

  •  神輿でワッショイ
 シャシはコロコロと転がして工場から搬出します。ボディーはみんなで声を合わせて ワッショイ、 ワッショイ。ジムニー神輿だワッショイ、ワッショイと運び出しました。


コ ロコロ

こうなっているのか〜

 
ワッ ショイ、ワッショイ
 
                     
  •  移植確認 
 「ドナーの具合はドナイヤー」などと親父ギャグは飛びませんでしたが、さっそく、 よっ てたかってドナーチェックが始まりました。
 長年に渡り森林浴をしていたため苔が生え、その苔を食べたデンデン虫君の不思議な歯形がいっぱいです。右に横転歴があり、右側フェンダー、ピラー及 び荷台が凹み、ドアとピラーに隙間が発生し、左右サイドシルが斜めに大地によって板金されています。リヤゲートはポール状の物と 接触した のか凹んでいます。3型ですが1型のマスク、幌は末期の状態、エンジン等の臓物は嫁ぎ先が決まっていました。
 
 
ど れどれ、おじさんが…
  
曲 がりを油圧ジャッキで修正


ノーマルに感動中!?



  •  本日2回目の神輿
 こんどは、ドナー車の分離作業です。本日2回目とあって手際がいいです。簡単に分離 しました。
 
こ の光景、今日2回目だな
  •  合 体
 いよいよ合体です。おとジム号のシャシを幌ボディーの下に搬送し、リフトに乗った幌 ボディーをゆっくりと下げていきます。シャシとボディーの合体は前側が基準です。前から中央そして後へとゴムを挟みながら結合していきます。
 シャシとボディーが合体してしまえば、元の通りに電気配線、ケーブル、ブレーキ、クーラー及びガソリンパ イ プ等結合していきます。朝から同じような作業の繰り返しですので、飽きてきます。
 
地道な作業が続きます

 ましてや、おとジム号は色々といじくり回しているのでノーマルのようにポン付けできな いところが沢山あります。この時は「改造するんじゃなかったなー」とつくずく思い知らされました。
  
まだまだ、続きます

やっとこ、形になりました
  • タイムアップ
すでに夜の10時。まだ細かな作業も残ってますがレンタカーの返却時間も迫り、残念な がらここでタイムアップ。

仲間の協力は実にありがたいものです。
  • 残りの作業
 自宅ガレージにてやり残しの細かな作業が待ってます。一部の大物のみの紹介です。

 まずは洗車です。おとジム家では洗車は2年〜3年に一度の一大事業です。

洗車をすると 男前になりました。

 幌車なので、安全性を重視して7点式ロールバーを入れることにしましたが、既にロール バーを入れた跡が無数に残っています。

 2回以上 ロールバーが入れ替わってます。
この穴軍団をFRPで埋めてから、ロールバーを組み入れました。

やたら太いロールバーです。

その様子を黒猫便の段ボールの上で半黒猫が見ています。
「この親父、暇ねー」
割れたFPRボンネットの修復です。
割れた部分の表と裏を削り取って、新たにFRPをサンドイッチのように積層します。

半透明の縦筋が割れたところです。
割れた部分の周囲を削り取り、FRPを2層貼りました。
ボンネット裏から撮影


表もFRPを2層貼りました。
 表面の盛り上がったところは、ヤスリで研磨して平面を出します。その後は、塗装して終 わ りです。
 素人には、曲がった鉄板を叩くよりも、FRPの方が簡単に修復できます。
  • 新生 おとジム号

改造ばかりで走ってないように思われていますが、
ちょっとは走ってます。


新たなおとジム号の出発です。
  • お礼
 ここで改めて、お礼を申し上げます。
 新生おとジム号にあたっては「おとぼけジムニー」で知り合った方々の暖かいご支援により、復活することができました。絶大なるご支援をしてくださった方 々をご紹介させていただきます。
 100マイル親方とお仲間のみなさん、青森のYさん、アロハさん、修理工場の社 長さん、ドルさん、卜部さん(順不同)
 お忙しい中、おとジム号復活のためにご尽力いただき誠にありがとうございました。
 その他、北九州のSさん、マッキーさん等々メールでの暖かい励まし、ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、今後もおとぼけジムニー  を 継 続させていただける ことになりました。
 言いたい放題、やりたい放題の我がままいっぱいの『おとぼけジムニー」ですが、今後とも宜しくおねがいします。