大手振って乗れるゾ!!公認改造車

公認車検とは業界の造語で本当は構造変更といいます。

 お 願 い
 構造変更についてのご質問を多数いただきありがとうございます。一番多い質問内容は「○○社のリーフスプリングに交換しましたが、車検には合格します か?」残念ながら私には各ジムニーショップのリーフスプリングに関して資料が有りませんのでご返答できません。車検の合否等の詳細な質問は、各製 造、販売会社若しくはお近くの軽自動車協会にお願い致します。

構造変更 その1

シャックル及びリーフスプリング交換

構造変更 その2

ボディー載せ換え

構造変更 その3

5から4ナンバーへ変更

おまけ1

重心位置ってどこ?


5から4ナンバーへ変更

 今回は、1300ccのジムニーシエラをモデルに変更作業を行います。軽ジムニーも同じなので、5ナンバーから4ナンバーにしたい方は参考にしてくださ い。
 そもそも、自動車は用途によってナンバーが区別され、ナンバーの数字で用途が分る仕組みになっています。5ナンバーは人間様を運ぶクルマ、4ナンバーは 荷物を運ぶクルマ、バスは2、パトカー等の特殊車は8と別れています。それによって、税金やら自賠責保険の金額、車検の年数が細かに別れていますね。「ナ ンバープレートには数字が沢山あるので、何だか分らない」って人もいるでしょうね。
なぜ、5から4にするん だ!と疑問を持たれる方もいるでしょうが、おとジム家の場合は、人間様よりお犬様の移動に自動車を使うことが多いのが最大の理由です。 お犬様は生き物ですが、人間社会では「モノ」扱いですから「モノ」を運ぶのに5ナンバーはマズいですよね。だから、4ナンバーにしたのです。(大人です。 これ以上は追求しないでください)
 さて、具体的な方法ですが、基本的に荷物が積めるクルマでないとだめです。室内は運転席後部に1平方メートル以上の床面積の荷室がないと認められませ ん。ジムニーシエラでは後席を取り外して2人乗り最大積載量100キログラムで登録しました。具体的な作業は、継続車検にチョッと手間が増えるだけです。 その手間ですが……
手間その1
 書類の作成。様式は各陸運支局で販売されていますから購入し、記載内容も車検証から数字を拾って書き写すのみです。
手間その2
 後席席の取り外し、最大積載量のシール貼付。
 後席以外にもスペアタイヤ、工具、荷物等は降ろす。ガソリンは満タン。最大積載量の計算は陸運支局がその場で計算してくれますので、その重量を記載した シールを支局近辺の自動車用品店で購入して貼付けました。ご存知でしょうが「最大積載量 積めるだけ」「最大積載量 荷主任せ」なんてダメですよ。
その他、詳細は各検査機関で聞いてください。

後席は固定されていません

先ほど作成した書類と実車があっているか、検査ラインの前で確認します。全長、車幅、高 さが計測される他、4ナンバーとしての条件を満たしているかも検査されます。実は3人乗車で登録したかったのですが、「1平方メートル以上の荷室」の法解 釈を巡り検査官と意見が異なり認めてもらえなかったので、仕方なく2人乗車で登録となりました。上の写真に畳まれた後席が写ってますが、固定されておらず 積んであるだけです。その後、検査ラインで継続車検と同じ項目の検査を受けます。
   
これが、運転席から見た検査ライン 
ブレーキテスト、排出ガス検査等々を行います。車検のラインと同じです。


これからラインに進入です


「横浜400…」となりました
4ナンバーのデメリットは、乗車定員の減少、車検が1年にることですが、貨物車なので税 金等で乗用車よりメリットがある場合があります。



ボディー載せ換え

 足回りのシャックルとリーフスプリングの構造変更を行ってから、早くも6年が経ってしまいました。おとジムも歳を取るわけです。いや、おとジムだけでは なく、皆さんも平等に歳を取ってますがね。仏陀の教えでは、全てが変化し続けるものだそうで、歳を取ことに危機感を感じるようでは悟りの境地にはほど遠い そうです。もっとも、おとジムは、神も仏も信じぬ不届き者ですから。
 さて、今回の構造変更は、バンボディーから幌ボディーに載せ換えたことによるものです。その経緯や方法はについては、「ボディー載せ換え」をご覧になっ てください。
 載せ換えると、車検はどうなるの?と多数のお問い合わせがありましたので、実際に行ってみました。
 ボディーの載せ換えは、一般的にいう車検(継続検査)ではなく構造変更になります。構造変更となると、シャックルやリーフスプリングのよう に強度計算が必要と思われますが、ジムニーはフレームが車体の強度を受け持っているので、ボディー形状が何であれフレームの強度には影響がないので計算書 の提 出は不要です。
 揃える書類も通常の車検とほぼ同じもの。異なるのは構造変更用のOCR用紙(40円)を購入するぐらいです。(詳細にあっては管轄する軽自動車協会にお 問い合わせください。)検査場のラインで検査員に「ボディー載せ換えによる構造変更」と伝え、通常の車検と同じように流し、最後に検査員が全 長、全幅、全高及び重量を測定します。
 注意点等は、幌ボディーに変更しても最大積載量はバンボディーと同じ200Kgですので、後部には「最大積載量200Kg」と表示してください。以上 で、車体の形状が「バン」から「ボンネット」に変更になります。
  構造変更により車検証の型式に「改」文字が入ると「型式指定番号」「類別区分番号」がなくなります。ご存知の方はご存知でしょうが、この番号がなくなる と、部品の注文に支障をきたすことがあります。
 
 車検証は以前は手書きでしたが、現在はプリントアウトされたものに変更されています。


 平成17年1月1日からリサイクル法が施行されましたので、リサイクル券を購入してください。
 リサイクル券は軽自動車協会で購入できます。協会内に専用の端末機械がありますので、登録番号と車体番号の下4桁を入力すると券が発行されます。リサイ クル券に印字された金額とともにリサイクル券を窓口に提出してください。
 このリサイクル券(預託金)がないと、車検を受けられません。また、このリサイクル券は廃車にするときに必要なものですから、大切に保管してください。


おまけ1

重心位置ってどこ?
 車検証の前軸重と車両重量から前後の重心位置が分かるって知ってた?
 これが分かるんですよ、簡単な計算式で!

 重心位置=前軸重×ホイールベース/車両重量

 おとジム号で計算してみると
 重心位置=500×2003/910=1100
 後軸から前軸方向に1100ミリの位置がおとジム号の重心位置になるのです。



シャックル及びリーフスプリング交換

 この構造変更は、平成11年のため、現在とは状況が変わっています。
 最新の状況については、軽自動車検査協会にご相談ください。

構造変更手順

  1. テレフォンサービス
  2. 電話相談
  3. 訪問相談
  4. 必要書類作成
  5. 事前審査
  6. 現車検査
  7. 合 格

テレフォンサービス
 申請手続きや検査関係などの案内、車検の予約を24時間テレフォンサービで受け付けています。
その内容を要約すると
 さっそく電話連絡をする

電話相談
 神奈川事務所に電話するがいつも話し中で繋がらない、数十回の挑戦でやっとつながった。電話の内容を要約 すると。  
  後日、メモと鉛筆を持って横浜から約2時間かけて綾瀬市の神奈川事務所に到着。

訪問相談
 神奈川事務所に向かう車中、あれも聞こうこれも聞こうと頭の中を整理しながらやっと到着。5番窓口での相 談の全容。
    「リーフスプリングとシャックルの構造変更について相談に来ました」       係員二人が譲り合いながら、若い係員が対応に、「はい、どのような」       「リーフスプリングとシャックルを純正からオリジナルに改造したいのですが?」       「それでは構造変更になりますので、書類を提出してください」       「どのような書類ですか?」       「このような書類です」と業者が過去に届け出た強度検討書をパラパラとめくった。内容が全く見 えない。       「どのような公式を使えば良いのですか?」       「安全率を証明すれば良いですよ」       「もっと具体的に教えてもらえませんか?」       「御自分で検討してください。一番いいのは、業者に頼むのが良いですよ、皆さんそうしてます よ」       「それでは、公式等は無いのですか?」     「いえいえ、有ります。」       「自分の車なので、自分でやりたいので、教えていただけませんか?」     「業者に聞くのが良いですよ」       「適切なアドバイスありがとうございました。」
 これ以上質問しても何も得るものがないので、1、2号様式を購入し愕然としながら帰路につく。  
 これが神奈川事務所のテレフォンサービスにある「詳しくは管轄する事務所に相談してください」の全内容で す。全くの無駄足でしたが、そのおかげで構造変更へのファイトが湧き出てきました。ガンバル ぞー
 

必要書類作成
 そんな訳で、何をどう証明できれば良いのか皆目わからなかったが、2号様式 「改造自動車審査結果通知 書」の下の方に「緩衝装置σb/σ=>1.6」となっている。「σ=応力」と決まっているので、簡単に言ってしまえば改造したリーフスプリング等がジム ニーの車重の1.6倍を超える荷重に耐えればよい訳である。それを証明できれば書類の作成は終わりである。
 なるほど、もし神奈川事務所で公式を教えて頂いてたらこんなことも解らずに構造変更していただろう。そう 思うと何とか神奈川事務所での相談内容を生かそうと、大きな書店を巡り何冊も材料力学の本を立読みし、近所の市立図書館で自動車工学の分厚い本をコピー し、道路運送車両法を隅から隅まで読んだ。それらから得た公式と数字をエクセルに打ち込みながら強度検討書を作った。
 
 ここでシャックルについて簡単に説明すると、シャックルには車重とスプリングとの圧縮の力がかかっている そーな。この力の1.6倍以上を耐える強さを持ってれば良い。
  具体的には、バネ上車重800キロ、前後の重量配分50%の車があるとすると、各タイヤには200キロの荷重がかかる。ある1輪のリーフスプリングは前と 後で支持してるので前後の支持部に100キロの荷重がかかるので、シャックル1組みはこの100キロの力に耐えれば良い訳である。更にシャックルプレート については、2枚あるので1枚あたり半分の50キロの力に耐えればよい。
 よって、シャックルピンは100キロの1.6倍160キロ、プレートは50キロの1.6倍80キロを超え る力に耐えれば良い。このことを計算式で証明することができればよい。
 座屈と言ってシャックルプレートが上下からの力がかかっても曲がらないことの証明も計算式で示した。
 今回の強度計算ではじめて知ったが、シャックルについては応力の1.6倍など簡単にクリアしており、「強 化シャックル」など全く必要がないことが判明した。SS40材(普通の鉄板)で30倍は軽くクリアしている。
 今回はこのように計算をして強度を出したが、車重の1.6倍になるまで車内に水を入れたポリタンクでも積 載して「壊れていないよ」と証拠の写真でも付けたら計算式が無くてもよいのだろうか?
 そんな訳で、自分なりにやっと満足いく強度検討書が出来たので、いよいよ神奈川事務所に。

事前審査
 おとぼけジムニー特製の「リーフスプリングとシャックルの強度検討書」を持って片道1.5時間(裏道を覚 えたので短縮)をかけて、神奈川事務所に到着。
 必要事項を記入した1、2号様式と強度検討書類を5番窓口に提出した。係員が5分程度見てから 「1週間程で決裁が終わりますので連絡します」とのこと。
 帰り道、書類提出だけの単純作業に付き合ってくれたビーグル犬を大和市の「泉の森」で遊ばせて帰路につ く。
 1週間後、神奈川事務所から「決裁が終わりましたので、現車検査しますので来てください。」直ぐさまテレ フォンサービスで車検の予約をして、下回りの整備、洗浄、ライト調整等々やり慣れてるいつもの車検点検整備を実施し、強制保険を継続し、税金の納付書を探 したりした。ここで点検整備記録簿がないことに気づく!スズキのディーラーに行くが、散々質問されユーザー車検だと判ると売ってくれない!いつも部品を購 入しているディーラーなのに売ってくれない。「おたくからは車を買わない!」と捨て台詞を吐いたが、「元々あんた買わないだろ」と言われる前に店を出た。 しかし、生憎おとジムはこんな嫌がらせには慣れっ子なので他から簡単に5冊入手した。
 点検整備記録簿のことを神奈川事務所に確認すると、「特に書式は決まってないが、点検項目が抜けていては ダメ」とのことでした。
 予約当日、モデルのビーグル犬を家に置いてくつもりだったが、「パジェロの車検に連れていったのに、ジム ニーの時には置いていくのはおかしい!」と女房の「ゆっちゃん」に言われ、本犬は相当迷惑していたが「それもそうだ」ということで連れて行くことにした?
 その後も車検のたびに連れて行くので、今では本人も車犬と思い込んでいる。

現車検査
 天候に恵まれ3月なのに汗ばむ位の気温の中、ガタゴトと片道1.5時間をかけて神奈川事務所に到着。書類 の作成に建物を行ったり来たり。やっと書類が出来て検査の順番待ちになりました。

 
奥の建物がブレーキ、ライト等の検査を行う検査場

 やっと、おとジム号の順番。右に90°曲がって検査建物の中へ入るのだがここが癖物、デフロックが 入っていると白線にタイヤを合わせられないので要注意!
 検査建物の入口で係員の指示のもと、各種ライトの点灯状態、ホーン、車体番号等の確認を行う。サイドス リップ、ブレーキ、ライトの光軸、スピードメーターの検査、排気ガス測定等を電光掲示板の指示に従い実施。全て◯で合格、×が一つでもあれば不合格になり ます。これは車検も同じで、この後協会の方が下回りを点検して異状がなければ車検は終わりになります。
 さて、ここからが車検と構造変更の違うところです。


 

全長を計測してます。後輪後方の四角い板が重量計

 まず床に埋め込まれた秤でジムニーの重量を計り、係員が巻尺等を使い全長、全高を計測します。次に リフトに乗せられ約1.5メートル上がり係員が点検ハンマーで下回りの各具の異常を検査、そのまま改造した箇所をメジャーで計り申請した書類と相違ないか 検査します。その間約5分、リフトが降りて係員曰く「色々と説明しますから車を移動させてください。」戻ってきた私に…。心臓ドキドキ!


合 格
「あなたが出された検討書と業者が出す検討書では公式が違いますが、図面を基に計算した結果、安全率を超え ているので保安基準に適合しています」私は心の中で「ヤッター」と叫び、係員から書類説明を受け、最後に「また構造変更しますか?」の問に「ハイ、2年後 また宜しくお願いします」と笑顔で再会を誓った。

車検証抜粋

 再度5番窓口で新しい車検証を受け取り、黄色いステッカーを貼って(手が振るえて曲がってしまっ た)構造変更完了となりました。